アワード

新千歳空港国際アニメーション映画祭2017のコンペティション作品としてノミネートされた作品のなかから、5人の国際審査委員による厳正な審査を行い各賞を決定いたしました。

グランプリ Grand Prix グランプリ Grand Prix

Dolls Don’t Cry

2017年 / カナダ / 0:20:00

予告編

男と女がアニメーション映画を作っている。男は夜にアニメートし、女は昼にアクセサリーを作り、修理する。セットの後ろでは、別の女が入場を待っている。

  • 監督名 : Frédérick Tremblay

    フレデリック・トランブランは、ユニークなハンドクラフト技術を使用し、カメラの前でストーリーを即興で作り上げる短編アニメーションを制作している。最近の作品には『Le Tiroir et le corbeau』や『Blanche fraise』などがある。

受賞理由

この熟練の技術で作られた、静かで力あるメタフィルムは、本当の意味でのインディペンデント作品であり、孤独なアニメーターの創造における日々の葛藤を語ります。モノトーンの世界へと深く深く入り込んでいくこの映画は、最初のフレームから最後のフレームまで、観客を捉えて離しません。

日本グランプリ Japan Grand Prix 日本グランプリ Japan Grand Prix

死ぬほどつまらない映画

2017年 / 日本 / 0:04:56

ある日、主人公は友人たちと一本の映画を観た。その映画のあまりのつまらなさに不満をあらわにする主人公だが、なぜか誰も同意してくれなかった。

  • 監督名 : 関口和希

    1991年12月、東京に生まれる。2016年、多摩美術大学卒業。2017年現在、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻在学中。

受賞理由

同調圧力に呻吟する人が増えています。老若男女を問わず多くの人々が「空気を読めない」罪悪感から自身を追い込んでいく、そんな現代社会の歪みに正面から無防備なまでの直球で切り込んだ意欲作と言わねばなりません。リアルなデザインを敢えて排除し、「かわいらしいアイコン」として最大公約数的に認知され得る(つまり同調圧力に屈した)記号的キャラクターを設定する事で、安直なハートフルドラマに陥る事なく、現代人に巣食う「病み」をアイロニカルに活写しています。もし本作が単なる「スタイルとしての社会派ドラマ」に留まっていたなら、これほど我々の心を揺り動かすには至れなかったでしょう。画面からは作者自身の声にならない咆哮が噴出しているのです。身を焦がす憤りと爆発、そして果てしない孤独、まだ道は見えないけれど、とにかく進むしかない、そんな「あがき」のアニメーション作品に我々は激しく打ちのめされたのです。

新人賞 New Talent Award 新人賞 New Talent Award

Ugly

2017年 / ドイツ / 0:11:54

予告編

とある興味深いウェブサイトで発見された「アグリー・ザ・キャット」の物語にインスパイアされたこの作品は、ネイティブ・アメリカンの男と醜いネコが、ねじれた共存のなかで平和を見出そうとする物語をシミュレートする。

  • 監督名 : Nikita Diakur

    ニキータ・ディアクルはドイツ・マインツ在住のロシア生まれの映画作家。ロンドンの王立芸術院でアニメーションを学び、卒業制作の『~』は無数のアニメーション映画祭で上映された。本作はインターネット上で有名な物語に影響を受け、コンピュータのシミュレーションのプロセスを通じてアニメーション化されている。

受賞理由

この前例のないアニメーション作品は、喜びとともに重力と戯れます。結局すべては最後に、あるべきところにおさまっていくのです。いや、もしかしたら違うかもしれませんが。

審査員特別賞(イゴール・プラッツェル) Jury Special Award(Igor Prassel) 審査員特別賞(イゴール・プラッツェル) Jury Special Award(Igor Prassel)

ハリネズミの家

2017年 / カナダ、クロアチア / 0:10:00

予告編

緑豊かで活気のある森に、ハリネズミが住んでいる。彼は他の動物によって尊敬され、羨ましがられている。だが、ハリネズミが持つ彼の家への揺るぎない自信が、強欲な四匹の獣を苛立たせる。四匹は一緒にハリネズミの家に向かって行進し、緊張と緊迫の膠着状態を作り出す。旧ユーゴスラビアの作家ブランコ・チョピッチの古典的なストーリーに基づいたこの作品は監督によって絶妙に演出されることで、老若男女に「家によりも良い場所はない」ということを思い出させる、心温まる普遍的な物語を語る。

  • 監督名 : Eva Cvijanović

    エヴァ・ツヴィヤノヴィッチは環境やキャラクターに内在するストーリーテリングにフォーカスするアニメーター兼映画監督である。コンコーディア大学卒業後、2本のインディペンデント作品を制作・監督し(2013年の『Seasick』および2010年の『Once upon Many Time』)、NFBのホットハウスプログラムにも参加した(2011年の『Kiss』)。触覚が持つ没入の力に魅了され、エヴァはフェルトの毛糸、水彩、パステルを素材として用いるが、同様にデジタルメディアにもよく通じている。エヴァの活動領域はドキュメンタリーおよび人形アニメーションからビデオゲームまで幅広い。最新の冒険である『ハリネズミの家』はNFBとボノボスタジオによるコマ撮りアニメーションで、バルカン半島でよく知られたおとぎ話が原作である。

受賞理由

1950年代始めのユーゴスラビアで出版された本を原作にしたこの毛糸によるストップモーション作品は、老若男女に対象を問わない、温かみのある普遍的な物語です。その土地に元々住む土地を大事にし、大量消費主義の病に陥らないことを伝えます。映画を構成するあらゆる要素――動き、脚本、撮影、音、そして編集が、優れた達成となっています。

審査員特別賞(ミヒャエル・フライ) Jury Special Award(Michael Frei) 審査員特別賞(ミヒャエル・フライ) Jury Special Award(Michael Frei)

Everything

2017年 / アメリカ / 0:10:00

予告編

Everythingは、動物から植物、銀河からその向こうまで、見えるものすべてになることができるインタラクティブな体験である。Everythingはプロセスであり、宇宙のすべての視点から見られたAIによる自然のシステムのシミュレーションである。イギリス系アメリカ人の哲学者、故アラン・ワッツ(1915-1973)のナレーション付き。

  • 監督名 : David OReilly

    デイヴィッド・オライリー(1985年、アイルランド生まれ)は、ロサンゼルスに拠点を置く映画作家・アーティストで、『Please Say Something』や『The External World』といった影響力ある短編作品の制作者である。そのアニメーション作品は数々の賞を受賞し、全世界で回顧上映も行われている。ピクサーやハーバード、イエーツ、USC、カルアーツ、もしくは多くの映画祭やカンファレンスでもレクチャーをしている。『アドベンチャー・タイム』や『サウスパーク』への脚本執筆や、スパイク・ジョーンズのアカデミー賞ノミネート作品『her/世界でひとつの彼女』内の架空のゲーム制作も担当した。

受賞理由

私たちの生きるこの宇宙を、賑やかな場所にしてくれてありがとう。

審査員特別賞(アンナ・ブダノヴァ) Jury Special Award(Anna Budanova) 審査員特別賞(アンナ・ブダノヴァ) Jury Special Award(Anna Budanova)

Negative Space

2017年 / フランス / 0:05:30

予告編

鞄の詰め方は、父が教えてくれた。

  • 監督名 : Max PORTER & Ru KUWAHATA

    マックス・ポーターとルー・クワハタはアメリカ・ボルチモアを拠点とするデュオである。十年以上にわたって「タイニー・インヴェンションズ」として活動するなか、短編作品、テレビCM、ミュージックビデオ、コミックなどを手掛けている。フランスのイッキ・フィルムズとマニュエル・カム・スタジオがプロデュースする本作は四本目の短編である。

受賞理由

父と息子のつながりを、日常的なオブジェクトを用い、才能に溢れたやり方で描く作品です。

審査員特別賞(リュウ・ジアン) Jury Special Award(Liu Jian) 審査員特別賞(リュウ・ジアン) Jury Special Award(Liu Jian)

Airport

2017年 / スイス、クロアチア / 0:10:35

予告編

空港のある一日。乗客たちの流れが突然の不規則によって乱される。セキュリティがその原因を見出そうとするなか、雰囲気は異常で不吉なものへと少しずつ変わっていく。悲劇と混乱は、いつも傍らにある。この映画は、自由に動く権利と、社会が課す国としてのセキュリティが求める制約とのあいだの関係を探る。

  • 監督名 : Michaela Müller

    スイスのサン・ガレンで生まれ。クロアチアのザグレブ芸術大学のアニメーション&ニューメディア学科を卒業後、ルツェルン工科大学で絵画と工芸の教師の学位を取得。 ミュラーの複数のアニメーション作品『ミラマーレ』(2009)は、2010年のカンヌ映画祭でプレミア披露されたのち、100以上の国際映画祭で上映、18の賞を受賞。短編アニメーション映画のほか、インスタレーション、オペラやパフォーマンスプロジェクトなどの劇場でのコラボレーションなど、絵画と映画の関連性を探求している。

受賞理由

テーマとスタイルが極めて統一されている作品です。この作品で使われている技法と色使いは、静かな孤独と寂しさに加え、視聴者に緊張される迫力をもたらします。作品には、詩的な美しさが満ち溢れています。

審査員特別賞(黒坂 圭太) Jury Special Award(Keita Kurosaka) 審査員特別賞(黒坂 圭太) Jury Special Award(Keita Kurosaka)

Orogenesis

2016年 / スペイン、フランス / 0:07:00

予告編

抽象化へと向かっていく旅。山々がどのようにして形成されていったのかについての仮説。

  • 監督名 : Boris Labbé

    タルブの高等師範学校で陶芸の学位を取った後、ボリス・ラベはアングレームのEMCA(エムカ)でアニメーションを学んだ。EMCAでの卒業作品『Kyrielle』は2012年のアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員特別賞を受賞した。その後のラベはビジュアルと造形の両方で芸術作品を制作し、マドリードの学校カサ・ド・ヴェラスケスで一年間を過ごした。サクレブルー・プロダクションズ製作の『リゾーム』(2015年)は文化庁メディア芸術祭とリンツのアルス・エレクトロニカでグランプリを受賞した。

受賞理由

まずは審査員である前に一人の表現者として最も触発され且つ激しく打ちのめされた作品と言わねばなりません。本作は所謂ナラティブを排除した地点から出発しながら結果として極めて純度の高い「造形ドラマ」の可能性を垣間見せてくれます。ミクロとマクロをストイックに溶接させるアプローチは、1980年代の「構造映画」を彷彿させますが、本作に於いては厳格無比な構造性そのものが逆説的に豊かな「詩情」を醸し出しているところにアクティブな同時代性を感じました。「生命」という語源的スピリットに於いて、これほど「アニメーション」の名に相応しい作例は稀有と言えるでしょう。

ベストミュージックアニメーション Best Music Animation ベストミュージックアニメーション Best Music Animation

環ROY『ことの次第』

2017年 / 日本 / 0:03:52

環ROY「ことの次第」のMV。言葉は音楽へ変わった/そして音に戻り 時と場に融け/時と場は物語を紡いでる。

  • 監督名 : 折笠良

    1986年茨城県潮来市生まれ。茨城大学教育学部、イメージフォーラム映像研究所、東京藝術大学大学院映像研究科で学ぶ。2015年9月から2016年8月まで、文化庁新進芸術家海外研修員としてモントリオールに滞在。詩や文学をモチーフに、繊細に手の込んだ独特な世界観を示す短編映像を発表しており、2015年に発表した作品『水準原点』は第70回毎日映画コンクール大藤信郎賞のほか、世界4大アニメーションフェスティバルに数えられるザグレブ国際アニメーション映画祭でゴールデンザグレブ賞(準グランプリ)を、日本人として初めて受賞した。さらに、オタワ国際アニメーション映画祭で最優秀実験・抽象作品賞を受賞するなど、国内外で高く評価されている。

観客賞 Audience Award 観客賞 Audience Award

Negative Space

2017年 / フランス / 0:05:30

予告編

鞄の詰め方は、父が教えてくれた。

  • 監督名 : Max PORTER & Ru KUWAHATA

    マックス・ポーターとルー・クワハタはアメリカ・ボルチモアを拠点とするデュオである。十年以上にわたって「タイニー・インヴェンションズ」として活動するなか、短編作品、テレビCM、ミュージックビデオ、コミックなどを手掛けている。フランスのイッキ・フィルムズとマニュエル・カム・スタジオがプロデュースする本作は四本目の短編である。

キッズ賞 Kids Award キッズ賞 Kids Award

ハリネズミの家

2017年 / カナダ、クロアチア / 0:10:00

予告編

緑豊かで活気のある森に、ハリネズミが住んでいる。彼は他の動物によって尊敬され、羨ましがられている。だが、ハリネズミが持つ彼の家への揺るぎない自信が、強欲な四匹の獣を苛立たせる。四匹は一緒にハリネズミの家に向かって行進し、緊張と緊迫の膠着状態を作り出す。旧ユーゴスラビアの作家ブランコ・チョピッチの古典的なストーリーに基づいたこの作品は監督によって絶妙に演出されることで、老若男女に「家によりも良い場所はない」ということを思い出させる、心温まる普遍的な物語を語る。

  • 監督名 : Eva Cvijanović

    エヴァ・ツヴィヤノヴィッチは環境やキャラクターに内在するストーリーテリングにフォーカスするアニメーター兼映画監督である。コンコーディア大学卒業後、2本のインディペンデント作品を制作・監督し(2013年の『Seasick』および2010年の『Once upon Many Time』)、NFBのホットハウスプログラムにも参加した(2011年の『Kiss』)。触覚が持つ没入の力に魅了され、エヴァはフェルトの毛糸、水彩、パステルを素材として用いるが、同様にデジタルメディアにもよく通じている。エヴァの活動領域はドキュメンタリーおよび人形アニメーションからビデオゲームまで幅広い。最新の冒険である『ハリネズミの家』はNFBとボノボスタジオによるコマ撮りアニメーションで、バルカン半島でよく知られたおとぎ話が原作である。

新千歳空港賞 New Chitose Airport Award 新千歳空港賞 New Chitose Airport Award

The Pear

2016年 / 中国 / 0:06:25

蒲松齢の『聊齋志異』から同名の物語を原作としたアニメーション短編。老子のアフォリズム「過度の貯蓄は常に重大な損失につながる」がこの物語の背後にはある。道教の司祭は喉が渇いて、田舎の男に梨を売ってくれるように頼むが、拒絶される。司祭が呪文を唱えて種を土に埋めると、梨の木ができる。司祭はその梨のすべてを人々にタダであげてしまうが、それに田舎の男は驚く。司祭があげたその梨は、実は自分の梨であり、その梨の木も彼の手押し車のハンドルであったということに。

  • 監督名 : TONGREKO, WANGYIHAO

    中国美術学院アニメーション学科を2016年に卒業。『The Pear』は卒業作品である。私と私のパートナーは6ヶ月をかけてこの作品を完成させた。水彩画を4千枚以上描いた。物語は蒲松齢の奇妙な物語を原作としている。

受賞理由

若き2人の作家が生み出した、アニメーションのコミカルなダイナミックさとリズムの爽快さが、この古い物語を実にフレッシュに楽しませます。

外務大臣賞 Minister for Foreign Affairs Award 外務大臣賞 Minister for Foreign Affairs Award

Echo Chamber

2016年 / 日本 / 0:12:00

サイ・トゥオンブリは、ロラン・バルトは、何をしているのか? テクストの誘惑と困難を書き、読んだ日々の記録。

  • 監督名 : 折笠良

    1986年茨城県潮来市生まれ。茨城大学教育学部、イメージフォーラム映像研究所、東京藝術大学大学院映像研究科で学ぶ。2015年9月から2016年8月まで、文化庁新進芸術家海外研修員としてモントリオールに滞在。詩や文学をモチーフに、繊細に手の込んだ独特な世界観を示す短編映像を発表しており、2015年に発表した作品『水準原点』は第70回毎日映画コンクール大藤信郎賞のほか、世界4大アニメーションフェスティバルに数えられるザグレブ国際アニメーション映画祭でゴールデンザグレブ賞(準グランプリ)を、日本人として初めて受賞した。さらに、オタワ国際アニメーション映画祭で最優秀実験・抽象作品賞を受賞するなど、国内外で高く評価されている。

受賞理由

繊細な波のように押し寄せる言葉と、余白の美しさ。静けさが熱量をともない、熟練を感じさせる作品です。

観光庁長官賞 Japan Tourism Agency Commissioner Award 観光庁長官賞 Japan Tourism Agency Commissioner Award

here AND there

2017年 / 日本 / 0:03:52

こちらとあちら、あちらとこちら。初夏のある日、3つの風景で起きる小さな出来事たち。

  • 監督名 : 小光

    1993年生まれ。2016年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2017年現在、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻に在籍中。

受賞理由

どこかで見たような可愛らしい風景に、予想と異なる形で現れる奇妙なものたち。カラフルな違和感が楽しく心に残ります。

北海道知事賞 Hokkaido Governor Award 北海道知事賞 Hokkaido Governor Award

Pivot

2017年 / 日本 / 0:05:59

この街の歴史は工場の発展と共に歩んできた。煙突を中心軸に、街が鼓動する写真アニメーション。

  • 監督名 : 佐竹真紀

    1980年豊頃町生まれ。札幌市在住。2005年北海道教育大学大学院修了。写真を使ったアニメーションを中心に制作。“記録”と“記憶”の狭間にある世界を探究している。おもな受賞歴、上野の森美術館VOCA展 2016/佳作賞、25. Stuttgarter Filmwinter/最高賞 Norman 2012、ASK?映像祭コンペティション2009大賞など。作品は他に『Slider』2016年、『肖像記』ビデオインスタレーション2015年、『おもかげ』2010年、『暮らしあと』2009年など。

受賞理由

見なれた街の風景が、アニメーションによって生き物のように躍動する。疾走する音の効果が加わり、うねりをあげて視点を変えてくれます。

ISHIYA賞  ISHIYA Award ISHIYA賞  ISHIYA Award

Land without Evil

2017年 / アルゼンチン、ハンガリー / 0:03:50

歴史を通じて、人々は完璧な場所を求め続けてきた。この短編作品は、グアラニー神話にもとづいており、楽園についての別の考え方を提案する。本当の楽園がもし自分自身の内側にあるとしたら? 生きとし生けるものすべての調和と結合のなかにあるとしたら?

  • 監督名 : Katalin Egely

    2013年にハンガリー・ブダペストのモホリ=ナギ大学を卒業。主にアニメーションを学んだが、現在ではドキュメンタリーにも興味関心が含まれる。ドキュメンタリーを作る際の即興性やチームワークに興奮させられるからだ。「自分が話す」のではなく「聞く」ほうに役割が変わるのも面白い。アニメーション・ドキュメンタリーが興味深いのは、アニメーションを用いれば物語の主観的な部分を表現できるからだ。主な関心はアニメーションを用いたミュージック・ビデオや実写映画のアニメーションのシーンで、国内外のクライアントと仕事している。

受賞理由

巧みな編集と効果的な音楽表現により、生きとし生けるものの鼓動が交差する。この上なくエモーショナルな生命賛歌です。

サッポロビール賞 Sapporo Breweries Award サッポロビール賞 Sapporo Breweries Award

Lovestreams

2016年 / アメリカ / 0:09:00

インターネット越しの恋人たちの物語。

  • 監督名 : Sean Buckelew

    カリフォルニア芸術大学実験アニメーション学科の修士、シカゴ美術館附属美術大学の学士・修士を取得したアニメーション作家。依頼仕事ではザック・エフロンの映画『WE ARE YOUR FRIENDS ウィー・アー・ユア・フレンズ』、デイビス・グッゲンハイムのドキュメンタリー『わたしはマララ』の絵コンテおよびアニメーションを担当。 オンライン集団レイト・ナイト・ワーク・クラブのメンバーであり、MTV、アークティック・モンキーズ、VH1、Adult Swim、Toonamiといったクライアントとも仕事をしている。クリス・サリバンの長編『コンシューミング・スピリッツ』でも手腕をふるう。自身の作品はスラムダンスやオタワなどで上映されている。ロサンゼルス在住。

受賞理由

何者にでもなれるはずだった愛の入り口は、伝えようもない空虚な自分を気づかせる。現代に生きる私たちにのみ共有しえる描き方で、この普遍的な物語を、より切なく再生させています。

北洋銀行賞 North Pacific Bank Award 北洋銀行賞 North Pacific Bank Award

僕らはけっきょく人間

2016年 / チェコ共和国 / 0:16:45

予告編

厳しい冬のあいだ、野ウサギは凍えるような寒さ、狩人や他の動物達の危険を耐えねばならない。ある日、彼は、家ウサギが送る快適で安全な生活を発見する。

  • 監督名 : Jan Míka

    プラハのFAMUで学士を取得(監督コース)、ピーセクの映画アカデミー(FAMO)で修士を取得(ビジュアル・エフェクトとクラシカル・アニメーション)。フィルモフォンというブランドにて、短編、コマーシャル、プロモーション映像を制作している。アニメーションもしくは実写とアニメーションを組みわせた作品を主に作る。

受賞理由

コミカルな人形造形に戸惑う序盤から、美しい雪と光、音楽の力で驚くほど夢中にさせる壮観さです。

北海道銀行賞 Hokkaido Bank Award 北海道銀行賞 Hokkaido Bank Award

Bulse

2017年 / 日本 / 0:04:33

音、声の視覚化。シンガーソングライターsatomimagaeの新曲『Bulse』のミュージックビデオ。

  • 監督名 : 野々上聡人

    自分の身に起きている全てを消化して絵にします。ささいな事が自分を、生活を形づくっています。今朝はパンかごはんか、今日は何日風呂に入っていないか、ファイブミニが新しくなっているとか、春風の心地とか日常の感動も、衝撃的な幸、不幸も同様に重要な人生のファクターで、人生がそのまま絵です。とりつかれた状態だなと冷静に客観する事もあります。息を吸うように描けたらと思います。ヴィジュアルに特価して、意味を、メッセージの不浄をおいてけぼりにできたらと思います。刻々と変わるきもちに向き合えれば日記は秒記。

受賞理由

積み重なるメタモルフォーゼの圧倒的な強度により、枠外の幻想世界へと導く素晴らしい作品です。

北海道コカ・コーラ賞 Hokkaido Coca-Cola Award 北海道コカ・コーラ賞 Hokkaido Coca-Cola Award

The Last Eye

2016年 / スイス / 0:09:30

予告編

自然は、大地、空、そして水に暮らす3種の反映する種たちの平衡状態を目撃する。このエコシステムはしかし、最も価値がないと思われた成員が偶然反抗する道を見つけたとき、漂流しはじめる。

  • 監督名 : Xavier Ducry

    ハビエア・デュクリーは1980年にスイス・フリブールで生まれた。そのキャリアのスタートからデジタル・アートを実践し、2005年には生物学の学位を取得、2011年には最初のアニメーション作品『アトミック・カルーセル』を制作(ファントーシュでスペシャルメンションを受賞)。2012年の『El Reciclaje de Colores』はドキュメンタリーで、2016年には本作を完成させた。

受賞理由

調和から一転、シンプルなアニメーション表現が世界の均衡を揺るがし、崩していく。実写背景の作品は数多くある中でも、革新を感じさせる作品です。

よつ葉乳業賞 Yotsuba Award よつ葉乳業賞 Yotsuba Award

そり

2016年 / ロシア / 0:04:19

予告編

子リスが、見たことのないものを見つける。

  • 監督名 : Olesya Shchukina

    オレーシャ・シュキナはフランス在住のアニメーション作家兼イラストレーター。2009年にサンクトペテルブルグ州立映画テレビ大学を、2012年にラ・プードリエールを卒業した。

受賞理由

少ない色使いで展開されるお洒落さと可愛らしさに、一瞬で心がつかまれ、もしかしたら本当にこんなことがあるかもしれないと思わせる、完成度高い作品です。

ロイズ賞 ROYCE Award ロイズ賞 ROYCE Award

Rainbow

2017年 / 韓国 / 0:16:00

予告編

架空の島レインボー・アイランドで展開する、海のように青い肌をしたヒーロー「レインボー」と普通のガールフレンド「キムソニ」、そして魅力的なパートナー「オーロラ」の物語を描くロマンティック・コメディ。様々なエピソードを通じて、「どこに行こうと、何をしようと、誰であろうと、ただあなたはあなたでいるだけで特別」ということが語られる。

  • 監督名 : KANG Heekyung

    1983年韓国・クンサン生まれ。韓国芸術総合学校(K-ARTS)卒業。アニメーション監督としてスタジオ・マーチで働いている。

受賞理由

あなたがいれば、特別な自分でいられる。美しく印象的な青色が、ロマンティックな架空の物語を自分の物語として心に広げてくれます。