映画祭レポート①/アニメーションマスタークラス・シシヤマザキ「要素は魚のように泳がせよ」
映画祭が終了してからあっという間に一か月!今年は動員数約33,000人と昨年を超え、大盛況の4日間となりました。ご来場くださった皆さまのおかげです!
さて今回、映画祭では「編集局ボランティアスタッフ」という、映画祭のレポート記事を書いていただく3名のボランティアを募集し、ゲストトークを中心に頑張って取材していただきました!本日より不定期に、そのレポート記事をアップしていきますので是非ご一読ください。ボランティアスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
トップバッターは、「アニメーションマスタークラス シシヤマザキ『要素は魚のように泳がせよ』」です。
講演中のシシヤマザキ氏
映画祭2日目、トークプログラムとしてトップを飾る「アニメーションマスタークラス シシヤマザキ『要素は魚のように泳がせよ』」。本映画祭のPR動画を制作し、ミュージック・アニメーション・コンペティション部門特別審査員を務めるアーティストのシシヤマザキ氏を迎えた本プログラムは、午前10時のスタートにも関わらず盛況となった。
シシヤマザキ氏は、水彩画によるロトスコープアニメーションを独自の表現手段として確立。CHANEL、PRADAや資生堂などのブランドのプロモーションイメージを制作するなど、世界的に活躍する人気アーティストである。本企画では、これまで自身が制作してきた作品と、その制作背景について語られた。
シシヤマザキ氏
今の仕事の原点は、大学時代に制作した『YA-NE-SEN a Go Go』。「元々、頭の中ではイメージが動いていたため、一枚の絵を制作するよりも、動きを伴って表現されるアニメーションが合っていた」と語る。仕事をしていく中で『YA-NE-SEN a Go Go』のような作品制作を依頼されるが、自身でも予測して制作した訳ではなかったため、「出来上がった時にどこがいいのか判断できなく、作品としてポイントを落とし込んで作っていくことが困難だった」とのこと。しかし、「考えようのない時に出てきた作品を、どう汲み取り、次の作品へ散りばめていくか、自身の作品から学んでいく」ことが”要素を魚のように泳がせる”ことに繋がると語る。
作品を作る上で意識していることは、「小さい単位でも、大きい単位でも、両方で見ること」だという。作品全体の印象を合わせるために、一コマずつ顔を似せ、アニメーションを通しても顔が特定できるようにする。一方で、アニメーションの動きを作る際には、一つ一つの動きに拘りながら、全体の動きの流れを作っていく。またこのことは「世界を捉えるうえで大切にしていること」でもあると言う。「商業的な制作物で扱うモチーフに制約があったとしても自分の中で物の捉え方を根底にしっかりと持っておくことが大事」だと語った。(編集局ボランティアスタッフ)
シシヤマザキ氏直筆のサイン