リュウ・ジアン特集『PIERCING Ⅰ』

リュウ・ジアン初の長編アニメーション作品である本作は、近年盛り上がりつつある中国インディペンデント・アニメーション界において特筆すべき成果として記憶されている。中国の現実をベースに、コメディやスラップスティック的な要素を混ぜ合わせながら、そこに生活する人々の人生や尊厳について、悲喜劇的に語る本作は、アニメーション史上においても特記すべき作品である。

ストーリー

金融危機によって、中国の多くの工場は2008年後半の閉鎖を余儀なくされた。チャン・シャオジュンもまた、靴工場の職を失った。ある日、スーパーマーケットの守衛が、泥棒と勘違いして彼を殴り、チャンはその賠償金を支配人に求める。チャンの切なる願いは、生まれ故郷の村に帰り、そこで農夫になること。しかしその出発の直前、警察は彼を捕まえる。スーパーの支配人もまた問題を抱えている。ある月夜、町の城壁近くの茶屋で、あらゆる物語が混じり合っていく。

監督プロフィール

リュウ・ジアン

リュウ・ジアンは中国風景画を学び、1993年に南京芸術学院を卒業した。20年以上にわたって制作される彼の絵画作品は画材と美学的アプローチの幅広さに特徴があり、中国国内及び海外での展示も行われている。1995年にはアニメーション制作を始め、2007年にはLe-joyアニメーション・スタジオというインディペンデントのスタジオを設立。初の長編Piercing Iはオランダ・アニメーション映画祭でプレミア上映され、アジアやヨーロッパの様々な映画祭で数多くの賞を受賞した。二作目の長編Have A Nice Dayは2017年の第67回ベルリン国際映画祭のメイン・コンペティションでプレミア上映された。

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作品情報

監督:リュウ・ジアン

2009年/中国/75分/DCP/中国語音声・英語字幕・日本語字幕

字幕協力:中国インディペンデント映画祭