ユーリー・ノルシュテイン作品集 世界初爆音上映
『アニメーションの神様、その美しき世界』

11月5日 12:00~ シアター1

“アニメーションの神様”ユーリー・ノルシュテインの代表作6本が、オリジナル・ネガから2K修復版で甦る。世界のアニメーション史に残る名作を、驚きの画質・音質で初の爆音上映。

作品紹介

1941年9月15日、旧ソ連に生まれたロシア人アニメーター、ユーリー・ノルシュテイン。切り絵を用いた緻密な作風で知られ、文字通り“アニメーションの神様”として、日本の宮崎駿・高畑勲監督をはじめ、世界中のアニメーターからリスペクトされる存在です。ノルシュテイン監督のソ連時代の6本の短編作品について、映画チャンネル イマジカBS・映画の20周年記念企画として、オリジナルネガから2Kスキャニングされたデータをロシアから取り寄せ、レストレーション(修復)、グレーディング(色調整)をおこない、2K修復版を制作。また音声も大元の磁気テープからデジタル化、日本の誇る音響エンジニア、オノ セイゲン氏が修復・マスタリングを担当。映像、音声共にかつてない美しさで、世界アニメーション史に輝く傑作群が甦りました。今回この名作たちが、ライブ音響機材を使った繊細な音響調整により、世界初の爆音上映で登場。お見逃しなく!

爆音上映とは 爆音監修:樋口泰人(boid主宰)

音楽ライブ用音響
セッティングでの上映
爆音上映とは、通常の映画用の音響セッティングではなく、音楽ライブ用の音響セッティングをフルに使い、音量も限界まで上げ大音響の中で映画を観て、聴く試みです。
大胆かつ繊細な上映
一般劇場上映では聴くことの出来ない迫力と、その爆音によって視覚までもが変容して映画そのものも違って見えるトリップ感覚が体験できます。また、大音響でなければ聞こえてこない幽かな音を聴くという、大胆かつ繊細な上映となります。
爆音=良音=適音
もちろん「爆音」とは言っても音を大きくするだけではありません。その映画にとって最適な音とは何か、その音があることによって映画が違って観えてくる、それぞれの映画における音の核心はどこにあるのか?そんな映画におけるベストな音の探求こそ、爆音上映の醍醐味です。映画にとって最良の音、最適な音が爆音上映にはあります。

上映作品

『25日・最初の日』(1968年/10分)

『ケルジェネツの戦い』(1971年/10分)

『キツネとウサギ』(1973年/10分)

『アオサギとツル』(1974年/10分)

『霧の中のハリネズミ』(1975年/10分)

『話の話』(1979年/29分)

監督プロフィール

ユーリー・ノルシュテイン
ユーリー・ノルシュテイン

1941年9月15日、第二次大戦下、疎開先のロシア中西部ペンザ州ガラブニーシチェンスキー地区アンドレーフカ村生まれ、75歳。1943年にモスクワに戻り、父母兄と暮らす。母バーシャは就学前児童施設、託児所、保育園などで生涯働き、父ベルコは木材加工器械の整備工だった(ノルシュテインが14歳のときに他界)。兄ガーリクは音楽を学び、後にバイオリンの修復者になった。10年制義務教育(日本でいうと中学までの義務教育にあたる)を受け、画家を目指して美大を受験するも不合格となり、家具コンビナートで働く。

1959年に連邦動画撮影所(ソユーズムリトフィルム)の就職試験を受け採用される。1959年〜61年までアニメーターのためのコースで学び、61年から撮影所で映画制作に従事するようになる。ソユーズムリトフィルムではアニメーターとして、自身の監督作も含めて50本以上の作品に関わる。中には日本でも人気を集めた人形アニメ『ミトン』『ワニのゲーナとチェブラーシカ』(ロマン・カチャーノフ監督)などもある(ノルシュテインはワニのゲーナの操演を担当)。同撮影所では美術監督のフランチェスカ・ヤールブソワと知り合い結婚。2人の子供を授かる。

初期の監督作である1968年の『25日・最初の日』及び1971年の『ケルジェネツの戦い』では、1920年代の芸術作品やロシア・アバンギャルドの影響が濃い大人向けの作品を撮るが、1973年の『キツネとウサギ』、1974年の『アオサギとツル』、1975年の『霧の中のハリネズミ』では動物が主人公の子ども向けの作品を撮り、いずれも高い評価を得た。そして1979年の『話の話』では、ロサンゼルスにおいて行われた映画芸術アカデミーとハリウッドASIFAとが共催した国際アンケートで「あらゆる民族、あらゆる時代の最上のアニメーション」として認められるなど、その評価を不動のものとする。

1986年、撮影を続けていた『外套』(ゴーゴリ原作)の仕事を中止させられたため、1989年に同撮影所を辞職。1991年、ロラン・ヴィコフ財団の支援で自身のスタジオを持つ。後に財団から独立し、「ノルシュテイン・スタジオ・アルテ」を開設。4本のロシア砂糖のコマーシャルや国営テレビ1CHのイントロとエンディングのアニメーション「おやすみなさい、こどもたち」を制作。2003年には、松尾芭蕉の連句アニメーション『冬の日』で「狂句木枯の身は竹斎に似たる哉」の句を担当し制作した。

監督として、これまでに国内外で30以上の映画賞などを受賞。1989年に映画芸術への実作者としての貢献に対してタルコフスキー賞、青少年のためのアニメーションの芸術発展への寄与にたいして国際ジャーナリスト連盟がメダルを授与、1991年にフランスの芸術文学勲章、1995年に文学および芸術上の高度な業績にたいしてロシア「凱旋賞(トライアンフ賞)」を授与された。

2003年には三鷹の森ジブリ美術館で企画展示「ユーリー・ノルシュテイン展」が開催。2004年には日本国政府から旭日小授賞勲章を授与される。また、2010年には神奈川県立近代美術館 葉山にて、「話の話 ロシア・アニメーションの巨匠 ノルシュテインとヤールブソワ」が開催されその創作の過程が紹介された。

1981年以来、従来のアニメの常識を覆した『外套』を制作しているが、様々な理由で未だに完成していない。

作品情報

監督:ユーリー・ノルシュテイン

提供:IMAGICA TV

配給:チャイルド・フィルム Presented by イマジカBS

ロシア/83分/DCP/ロシア語音声、日本語字幕

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